一周忌

昨夜は仙台を過ぎ、三本木PAで仮眠。
朝9時頃に八戸の実家に到着しました。
身支度をして喪服に着替えていると、「ひげそりは?」「ベルトがないよ」とNAKAJI。
「ごめん、忘れてきちゃった」と私。
だって私は使わない物なんだもの。
あんなに忘れ物ないか確認したんだけどな、二つとも頭に浮かばなかったよ(^^;


それにしても今日の八戸は暑い。
お寺さんにはエアコンなんて物はないし、喪服の中で汗がナイアガラの滝みたいに流れてきます。
和尚さんのお経の間、智ちゃんは静かに座って手を合わせていられました。
次はきちんとお膝を折っていられるように頑張りましょう。


お寺さんの後はホテルへ移動して会食。
はじめに父が挨拶をし、その際に父からのサプライズがありました。
母が亡くなった後父が詠んだ短歌をまとめ、追悼短歌集を作成しており、一人一人に配られたのです。
今はワープロも手放しパソコンも持っていない父は、何か文書を作成したい時があるとよく私に頼んできましたが、こればかりは私にも内緒で作りたかったよう。
敢えて親しい方にお願いして打ってもらい、印刷して製本したとのこと。
先に目を通したNAKAJIから「のんのはここで読まない方がいいよ」と言われ、会食後にゆっくり読みました。
父が綴った41首の短歌は、手術前から母の死後に父が一人の生活になって感じたことまでが順次詠まれており、涙がボロボロとこぼれてきました。
以下、その抜粋です。




追悼短歌『静かに旅立つほほに笑みうかべ』
僧帽弁置換手術並びに三尖弁輪縫縮術後心不全により2009年8月28日旅立つ


孫と遊ぶ楽しみ思いお手玉を 縫いつつ妻はわらべ唄歌う
今日もまたわかってやれずくり返す 「歩く気がない」「ちがう歩けない」
希望持ち夢の実現楽しみに 手術受けんと妻は決心す
長くなる入院期間を予想して 顔彩画描く材料持ちて
ひと月の夫の調理の手助けに 簡単食材買いおく君は
食細き妻も体力落とさぬよう 病院食を残さずに摂る
オペ室へ曲がる時まで手を振って ストレッチャーに横たう妻は
弁交換うまくいったの知らせあり その後の急変夢にも思わじ
「がんばって」それに応えて幾たびも モニターの波形上り下りする
最後には家族みんなに見守られ 静かに旅立つほほに笑みうかべ
棺には花いっぱいに入れてねと 唯一ののぞみ残して君は
手掛けみてはじめて妻に感謝する 主婦の仕事のいかに多きか
あどけなき孫の写メールまた届く 亡妻に見せたき成長のさま
着る物も花器もしばらくそのままに 形見分けなど考えられず