決めたのに

無意識にお腹をなでていることに気づき、悲しくなった。
おめでたと診断されてから、たった1ヶ月だけのマタニティライフだったけど、お腹をなでる癖がついていたんだ。


お腹の中にベビちゃんがいなくなった今も、本当にどうにもできなかったのか、何とか妊娠継続できる方法はなかったのか、という思いを断ち切れない。
たとえ妊娠継続できたとしても、おそらくは障害を持ったであろうことは知っている。
頭では理解できていても、心では受け入れられないものがある。


「私は今までバチが当たるようなことはしてないと思うんだけど、何が悪かったのかな」とNAKAJIに聞いてみたら、
「のんのは運が悪いんだよ」という答えが返ってきた。
「運って、そんなの自分の力じゃどうにもできないじゃん。何で私が?順調に赤ちゃんを産んでいる人は世の中たくさんいるのに、どうして私はできないの?」


話しているうちに、悔しくて、自分が人間失格みたいに思えて、また涙が出てきた。
「私の赤ちゃん返して!!」
思わず口から出てしまった。
言ってはいけないと思い、ずっとしまっていた言葉が勝手に飛び出してしまった。
NAKAJIに怒った訳じゃない。手術をした先生を恨んでいるのでもない。
誰にともないけれど、感情があふれ出して止められなかった。


「大丈夫。赤ちゃんはちゃんと帰ってくるから」と言って、NAKAJIがぎゅっと抱きしめてくれた。
戻ってきてくれると信じることにしたのに。
早く元気になって、いつでもベビちゃんが戻ってこれるように頑張ろうと決めたのに。
最悪。私って自分が思っていた以上に最低だ。ごめん、NAKAJI。