俵万智の子育て歌集『たんぽぽの日々』を読んでいたら、息子さんを海に連れて行った時のことが書かれていました。
俵万智さんは海が好きだそうで、息子さんが二歳の頃に初めて行った海を怖がらず、楽しんでいた様子を見て嬉しくなったそうです。


『今日までに私がついた嘘なんてどうでもいいよというような海


海には、包容力がある。ちっぽけな自分の悩みなんて、吹き飛ばしてくれるような豊かさがある。「海」という漢字のなかに「母」という字を見つけたのは、詩人の三好達治だった。いっぽうフランス語では、母はmere、海はmerという。


 海よ、僕らの使ふ文字では、
 お前の中に母がゐる。
 そして母よ、仏蘭西人の言葉では、
 あなたの中に海がある。 (三好達治「郷愁」より)』 (以上、俵万智「たんぽぽの日々」より)


母というものは海のような豊かな包容力があるもの・・・という理想は確かにありますが、現実の私は決してそうではなく、むしろこのところずっと私は悩み苦しみ、自分のことで精一杯。
とても人を大きく包み込むなんてゆとりはありませんでした。


私の娘の名前には「海」の字が入っています。
子供が生まれた時どの字をつけようかとNAKAJIと相談した際、姓名判断で良かったということもありましたが、「海のように広く、大きく、深い心の人になって欲しい」と思ってつけました。
後に友人から「荒れた海になるかもよ〜」なあんて言われて笑ったことがありましたが、幼い娘の心の中に私を包んで癒やしてくれる優しい気持ちが育ってきてくれています。
心が萎えた私をぎゅうっとハグして背中をポンポン、頭をなでなでしてくれたことがありました。
私の方こそ智ちゃんを大きな心で受け止めてやらないといけないのに。
もしかしたら自分にないものを子供に望んでつけたのかもしれません。


『たんぽぽの綿毛を吹いて見せてやる いつかおまえも飛んでゆくから』


もともと「たんぽぽの日々」はママ友さんから薦められて知った本です。
俵万智さんの歌、フォト、そしてその歌に関するエッセイが書かれていて、子育て中の私の心をつかみました。
見開き2ページで一つの歌が完結するので、いつでもパッと読んだり中断したりしやすく、限られた短い時間でも読みやすく感じました。
でも私はこの本は読みやすいからと言って、1冊をどんどんと読み進めて一気に読み終えるのではなく、一つ一つをじっくり時間をかけて読み味わい、自分に置き換えて考え、そしてまた繰り返し読むのが気に入っています。
特に私同様、子育て中のママさんたちに心からオススメの本です。